瑞牆山−八ヶ岳を展望する山に行こう!−

山行日

2003年7月上旬。晴れ。

コース名

瑞牆山荘から瑞牆山(山梨県)

ピーク

瑞牆山:2230m

山行形態

マイカー日帰り

コース
タイム

瑞牆山荘08:35--09:25富士見平小屋(小休止)09:45--10:25天鳥川出会(小休止)10:35--12:00瑞牆山山頂(大休止)12:55--14:10天鳥川出会(小休止)14:15--14:40富士見平小屋(小休止)14:50--林道出会14:55--下山は林道歩き--15:10瑞牆山展望台(小休止)15:15--山道に戻る--瑞牆山荘15:35

山行記

独身時代に単独行で来た岩山
 石裂山でへとへとになった次の週末、筋肉痛はやっと取れたという状態で、次なるトレーニング登山に行きました。木こりの単独行の装備はあるものの、まだ二人でテント山行するだけの道具は買い揃えていないので、今回も日帰り登山となりました。やはり木こりが10年以上前に単独行で登ったことのある山で、八ヶ岳が展望できる瑞牆山(みずがきやま)です。日本100名山のひとつでもあり、日帰りが十分可能なので人気の山です。森林から花崗岩の岩峰がそそり立つダイナミックな姿が魅力です。山頂からは隣の金峰山はもちろん、八ヶ岳や南アルプス、富士山まで見渡せる展望の山でもあります。

 テント山行の予行演習に使おうと思っていた場所ではありますが、とりあえず日帰りトレーニングに使って、テント山行の予行は金峰山にすることにしました。

八ヶ岳を遠望しながらのドライブ
 朝5:20に東京を発って首都高から中央道に入り、須玉I.C.までひた走ります。途中の双葉S.A.で朝食に山梨名物「ほうとう」を食べました。味はいまいち! 須玉で降りて増富温泉を目指して本谷川沿いの山道を登ります。本谷川はほれぼれするほどの渓相で、フライを中心にした釣人の姿が目立ちます。高速から近いし、流域全体が舗装路に面しているので釣人が多いのかもしれません。湧き上がる釣り心を抑えながら、増富ラジウム鉱泉を過ぎて瑞牆山荘を目指します。途中、ものものしいTVの撮影クルーの姿もありました。きっと「増富温泉湯煙り殺人事件」というドラマを撮っているにちがいありません。

 8:20に瑞牆山荘近くの無料駐車場に車を置きました。100台以上置けそうな大きな公営駐車場です。ウグイスがいい声で鳴いています。テント場のある富士見平小屋下まで林道もあるのですが、瑞牆山荘から先は一般車は入れません。早速、山靴に履き替えて簡単に準備体操。デイパックを背負って出発です。

瑞牆山荘から富士見平小屋
 登山道は瑞牆山荘の正面から始まっています。8:35に歩行開始。最初は気持ちのいい林間の登りで、斜度はさして急ではありません。前回の山行でいくらか登山の勘を取り戻しつつある木こりは、最初はゆっくりゆっくりと歩幅を狭くしてジグザグに坂道を登っていきます。 10分ほど歩いて小休止、最初はユルめにしていた靴の紐を締めなおします。筋肉が温まっていない最初の10分は、意外に疲れます。靴の紐を締めなおす口実で息が上がらないうちに一度「一分休憩」を取っておくと体に無理が来ません。こういうことはかつて頻繁に山に行っていた頃は常識としてやっていたのですが、先週の石裂山では、そういえばこういう「基本」も忘れていました。

 「この間より歩きやすいね」とあぐりも今日は余裕があります。30分ほどでいったん林道にぶつかり、ふたたび林間の登りとなり、もういちど林道とぶつかると富士見平小屋はすぐです。50分ほどで富士見平小屋に到着しました。今日は標準コースタイムどおりのペースでした。先週に比べてはるかに歩きやすい。高度が高く涼しいということ、体が登山モードを取り戻しつつあるということ、道が乾いているということや、岩質が石裂に比べて滑りにくいということなど、いろいろな好条件が重なってのことだと思います。

富士見平小屋から天鳥川出会い
 富士見平小屋はかつて来たときと同じ見覚えのある姿でそこにありました。テント場には3張りくらいのテントが張ってありました。大学の山岳部の名前の入ったテントもありました。 瑞牆山に向かったと見られるパーティがデポ(荷物を置いていくこと)したザックも目に入ります。先週の石裂山と違って、かなりアルペン的雰囲気に近づいてきました。 若い子たちのパーティとお互いのカメラのシャッターを押し合ってから、大休止を兼ねてしばらくテント場を下見しました。

 数十張ならば快適に張れそうな広い、気持ちのよさそうなテント場でした。小屋前から富士山も見えます。水場の場所を聞こうと思って人影の見えた小屋の窓に向かって「すみませーん」と声をかけましたが、応答なし。小屋番さんではなかったのかなあ。木の幹に消えかかった表示が見つかったのでそれを頼りに探してみると、水場は山道を2、3分戻ったところにあり、沢水が豊富に湧き出していました。

天鳥川出会いから山頂
 9:45に富士見平小屋を発って、しばらくトラバースのあといったん沢筋に下り、10:25に天鳥川出会いに到着しました。途中、下山中の人に「頂上の展望はどうですか」と聞いてみたところ「今日はすばらしいですよ」との答え。俄然やる気がわきます。

 天鳥川は、手を入れると痛いくらいに冷たく、ほてった体を冷やすのには最適でした。手を洗い、顔を洗い、手ですくって飲みました。 ここでしばらく休憩の後、いよいよ今日のハイライト、山頂への急坂となります。

 ここからは90分ほど、岩をよじる急な登りの連続となります。倒木の下をくぐったり、木の梯子やロープがかけられている岩場も次々に現れます。あえぎあえぎ、少し登っては休み、また少し登っては休みを繰り返し、無理のないペースでゆっくりと山頂を目指します。困ったのは、少し休んでいるとヤブ蚊にたかられることです。 2000mを超えてもまだ蚊がいるんだなあ。テント泊の日は蚊取り線香を持ってこなくちゃ。

 登るうちに「あ、前きたとき、この岩で休んだ」「ここで写真撮ったおぼえがある」と木こりの記憶も次々によみがえってきます。四肢をフル動員する登りは、きついけれど充実感があります。長いあいだ忘れていた、木こりの中の「山ごころ」が再び目覚めるのを感じました。山頂直下のロープのかかった岩場にはちょっと苦戦したものの、なんとかコースタイムどおりで山頂に飛び出しました。

すばらしい展望の山頂

 山頂は片方が深く切れ落ちたスリリングな岩峰です。座る場所を探すにも戸惑うくらいたくさんの登山者であふれています。

 「ああ、あれが八ヶ岳だ」木こりの指差す先に、あこがれの八ヶ岳がくっきりと見えています。あのいちばん高いのが赤岳、あそこに行くんだ、と八ヶ岳を目指す気持ちはいやがうえにも盛り上がります。八ヶ岳の左には南アルプス、ぐるりと頭を巡らせると富士山、八ヶ岳の反対側には間近に金峰山、ケルンを積み上げたような五丈岩までよく見えています。

 展望を楽しみながら、ゆっくりお昼を食べました。コンビニのおにぎりと、木こりはゼリー飲料も追加しました。あぐりがペットボトルの水をフリーザーで凍らせて持って来ていたのですが、山頂についてもまだ氷の塊が残っていて冷たい水を飲むことができました。これはヒット。それから、行動中の栄養補給には、スーパーの100円菓子コーナーで買った乾燥バナナチップが非常によく、また駄菓子も少量で軽く持ってこられるので意外に役に立ちました。疲れると食べ物がのどを通りにくくなるので、いろいろな味が楽しめる駄菓子は、かなり使い勝手のよい山の栄養源になりそうです。

きつい下り
 そういえば今日は木こりパパの誕生日です。山頂から木こりの実家に電話をかけて木こりパパを驚かせました。急な下りは登り以上に難しく、しまいに膝が笑ってきましたが、しかし、先週の石裂山に比べるとコースの取り方やバランスがよくなっているのが感じられました。やはりトレーニングの効果はあるようです。とはいえ天鳥川出会いまでの下りの標準コースタイム60分のところ75分かかりましたので、やはりまだもうひとつ調子が戻っていないようです。もう少しトレーニングが必要そうです。最近流行っているストック(スキーのストックを折り畳みにしたような杖)があると下りが楽そうだ、などと思いながら下山しました。

 富士見平の水場に戻ると、大学生くらいの男女のパーティが水場を占領してポリタンクをずらりと並べて水を汲むでもなくダベりながらビールを冷やしたりしていました。他のハイカーが水を汲みに近づいてもまったく場所をゆずる気配がありません。山岳部とかワンゲルというものは、こういうときリーダー格の人間が「おい。邪魔になってるぞ」などと後輩をたしなめるものだと、元山岳部の木こりは思っていたのですが、そんな様子はまったくありません。大学山岳部も落ちたものだ、とちょっとがっかりしました。そういえば、どこかのサイトに富士見平のテント場のことを「駐車場から近いテン場は大宴会が始まってしまうのでタチが悪い」などと書いてありました。今度予行演習に来るときはここじゃなくて、もう1時間登った大日小屋のテント場にしようかな。

 下りは途中、一部林道を使いました。下りはなだらかな林道歩きが楽なのと、林道途中に展望台があって瑞牆山の山頂がすっかり見えるビューポイントなのです。冒頭の瑞牆山の全容の写真はこの展望台で撮ったものです。

下山後は温泉でリフレッシュ!
 帰路は増富温泉の日帰り施設「増富の湯」に寄りました。歩行風呂、打たせ湯、冷泉、サウナ、ジャグジーなどさまざまなタイプの風呂を楽しめる立ち寄り温泉で、疲れた体をゆっくりほぐすことができました。汗も流せるし、下着まで全部着替えられるし、山行帰りには温泉に寄るに限ります。

 今回は、山行翌日に筋肉痛はあったものの、その翌日にはすっかり取れて、やはりトレーニングの効果が出始めているのを実感することができました。

あぐり

帰り道、瑞牆山荘の屋根が見えた頃、ずるっと滑ってシリモチをついてしまいました(^^;小さい頃、「家に帰るまでが遠足です!」と言った先生の言葉を思い出しました。次回は家に帰るまで気をぬかないぞ!