三崎めぐり――貧果でも楽しいこれこそ「あそび釣り」の一日(後編)

釣行記

前編よりつづく
やっと釣果が
 通り矢堤防の内側、堤防の影で日陰になっている水面を覗きこむと、小さなカワハギが群れているのが見えました。ここにウキ釣り仕掛けにジャリメを付けて入れると、もう、即アタリ。ウキがピクピクピクピクとアタリっぱなし。やっぱり排水口側は明るすぎてだめだったんだ。……しかし全然ハリがかりしません。仕掛けを上げてみると、エサはきれいに取られています。チビカワハギ恐るべし。今度はトリック仕掛けにアサリ半分、イソメ半分のエサを付けてカワハギちゃんたちの中へ。早速ピクピク。でもかからない。そんなことしてると、アッチ側からあぐりが「来てるきてる!」と呼ぶ声がします。竿をその場に置いて戻ると、ブラクリ仕掛けの竿先がビクビクしています。 「送りこんで、十分食わせて!」小物っぽい引きではありますが、たしかに魚が反応しています。「あ、いなくなっちゃった」……乗りません。「アッチに置いてきた竿見てきて」とあぐりに堤防内側に置いてきた竿の様子を見てもらいます。「ぴくぴくしてるよ!」の声に駆けつけると、あぐりがハゼを上げていました。まあまあのサイズじゃない。ハイ!ボウズのがれ!今夜は天麩羅ね。
 そのあと、排水口前に入れておいたアミ餌のウキ釣り竿に小メジナが来て、少し調子が出てきました。次にあぐりのブラクリ竿にタコがかかりました。これにはあぐり大喜び。その後もブラクリ竿には結構アタリが出るのですが乗りません。ハリのサイズだろうということでチョイ投げのキス仕掛けに替えてキャスト。やはり乗りにくいのですが、なんとかハゼの一荷が上がりました。でも結局カレイは出ずじまい。昼すぎに納竿としました。

城ヶ島観光
 今日のメインは観光、ということで車で城ヶ島に渡ってお昼を食べることにしました。無料駐車場に車を置いて城ヶ島を散歩。岸壁で釣りをする人や行き交う船を眺めながら歩きました。磯料理店や干物屋の店先を通りかかるとうるさいほどに客引きの声がかかります。そのうちの一軒の海の見える3階座敷に上がって、トロ好きのあぐりはトロ定食、貝類大好きの木こりは磯定食を堪能しました。2500円〜2800円くらいだったかな、ボリュームも味もなかなかのもので満足できました。食後、灯台の見える磯場を散策しましたが、磯には観光客だけでなく釣り人も何人か出ていました。ギャラリーを大勢背負っての磯釣りはシンドくないのかな、などと思いましたが、そんなこと気にしてたらこんな観光地で釣りはできませんね。海には、白波を長く引くきれいな観光船や、タコ漁らしい漁師の小さな和船、シーカヤックを楽しむ人の姿もありました。広広とした気持ちのいい景色を楽しむことができました。

意外に(?)楽しかった油壷マリンパーク
 きこりとあぐりは城ヶ島を後にして有名な油壷マリンパークをのぞいてみることにしました。古〜い水族館テーマパーク、というイメージを持っていたので、実はあまり期待していませんでした。入場券を買って園内に足を踏み入れてみると、やはり昭和の匂いがぷんぷんします。まあ、レトロな遊園地もたまには面白いかなと思いながら見て歩きました。入り口近くに鮫を触れる水槽があって、50〜60センチくらいの鮫(たぶんネコザメってやつ)が2匹入っています。「サメを持ち上げないでください」と書いてあります。恐る恐る手を入れてサメの背中に触ってみました。たぶんおとなしいサメなんでしょうが、それでもサメに触るのは初めて。動物に触るのが好きなきこりは結構わくわくできました。
 水族館をひととおり見て、食堂でソフトクリームを食べて(ちょっと寒かった)、あとはもう「イルカ・アシカショー」くらいしか見るもがありません。「これ見とかないと他に見るものないよ」なんて言いながらショーの会場に入りました。なんと室内です。イルカショーで室内というのは結構めずらしいのではないでしょうか。かぶりつきに座って、あまり期待せずに開演を待ちました。やがて開演。ところがこれが素晴らしいショーだったのです!
 アシカが、ものすごい勢いで楽器を演奏したり、トレーナに渡された輪っかをものすごい勢いで運んでプールを突進(右の写真)したり、とにかくアシカはなにをやるにもものすごい勢いでやります。お客さんと握手したりキスしたり、お客さんの投げる輪を首で上手に受け取ったり、それが全部「極端に一生懸命」な感じで、もう大笑いでした。イルカもよく訓練されていて、アシカの演奏にあわせてジングルベルを「ものすごいダミ声の大声」で歌ったりします。これも大笑い。 イルカショー、アシカショーはよくありますが、両者競演というのは他にないのではないでしょうか。そして室内プールで目の前で見るイルカのジャンプは大変な迫力で、感動してしまいました。屋外プールのシャチのジャンプより室内プールのイルカのほうが訴求力ありますね。期待していなかっただけにショーのレベルの高さにびっくりです。これだけのために油壷に行く価値はあると思いますよ。これはおすすめです。
 アシカ・イルカショーのあと、かわいいペンギンの餌付けショーを見たらもう閉園時間になりました。「今日は面白かったねー」と釣りの貧果も忘れて大満足のきこりとあぐりでした。釣りだけでなく観光をプラスアルファすることで充実したレジャーの一日を満喫できる、これが遊び釣りの真髄かな、などと考えながら家路につきました。

あぐり

久しぶりに食べられるものを釣りました。タコを釣ったのも初めてです。油壷マリンパークのイルカショーはおすすめです。特にクリスマスはいいと思います。