石裂山−鎖場のトレーニング登山−

山行日

2003年6月下旬。晴れ時々曇り。

コース名

石裂山周回コース(栃木県)

ピーク

石裂山:871m  月山:900m

山行形態

マイカー日帰り

コース
タイム

賀蘇山神社付近公共駐車場08:15--08:40竜ヶ滝(小休止)--中の宮(行者返しの岩場)09:10(小休止)--奥の宮09:35--東剣ヶ峰10:10--西剣ヶ峰10:30--石裂山山頂10:50(小休止)--月山山頂11:20(小休止)11:30--竜ヶ滝12:45(小休止)--駐車場13:05

山行記

山岳信仰の山で鎖場の練習
 八ヶ岳を目指すには、なんと言っても山頂近くの急斜面の岩場をクリアしなければなりません。鎖場(急な岩場に手がかりとなる鎖がかけられているところ)やハシゴの登下降の練習が必要です。そこで、10年以上前に木こりが何度かいったことのある、栃木県の「石裂山(おざくさん)」にトレーニングに行くことにしました。ここは900m足らずの低山ではありますが、事故も多く滑落死者も出しているなかなかの難所です。一周4時間ほどの短い登山コースの中に鎖場やアルミ階段、アルミ梯子がたくさんかけられていて、高山へ行くまえのトレーニングには最適の山なのです。

バテバテでびっくり
 東京を車で5:30前後に出発。首都高から東北道に入って、いつもの佐野S.A.で佐野ラーメンを食べて(今回はかなり美味しかった)鹿沼I.C.を降りて一般道を山に向かいます。登山口のある賀蘇山神社についたのは8:00ごろでした。神社のトイレを借りて、そのまま林道を少し登ると鹿沼市の「石裂山無料駐車場」があります。既に車が2台ほど停まっていましたが、広い駐車場なので20台くらいは停められそうです。そそくさと登山靴に履き替えてデイパックを背負って、出発しました。

 本来は、もっと早い時期に行くつもりだったのですが、仕事の都合でなかなか行けなくて、結局6月も下旬になってしまいました。梅雨真っ盛りでしかも気温はかなり上がっています。1000mを超えない山は、すでにこの時期暑さと害虫であまり快適とは言えません。山は高いからきつい、低いから楽ということは全くありません。暑い時期の低山はかえって体力を消耗します。今回はさらに梅雨の中休みの晴れ間ですから、湿度は高く、また岩も梯子も雨で濡れて非常に滑りやすい状態のはずです。

 しかも、最近山に行ってないウエに運動不足で、技術体力ともにかなり怪しいコンディション。登り始めるとすぐに大汗をかいて体温が上昇してきます。途中の沢水で腕や顔を洗ってクールダウン。ガイドブックではさしてきつくないはずの坂道が、二人ともハァハァとあえぎながらの登りになってしまいました。うわ。こりゃけっこうきついや。以前来たときにはこんなにきつい山じゃなかったんだけど。歳のせいかなあ、運動不足のせいかなあ。最初の休憩ポイント、竜ヶ滝の東屋のところに来たときには、すでにバテがきていました。我ながらびっくりの情けない状況です。

いよいよ岩場
 東屋で休憩して水分を補給して出発。看板に「石裂山はハイキングコースではありません。登山コースです。」とか「○○年から○○年までに何件の事故が起きています」といった警告が書かれています。しばらく登ると県の天然記念物に指定されている「千本桂」があります。たくさんの桂の木が寄り集まって1本の大木のように見えています。深山幽谷の雰囲気があります。ムっとする草いきれの中をさらに登ると、中の宮の休憩所に到着しました。ここから岩場の連続になります。最初の岩場は短い鉄梯子の上に長い鎖場があって、下から見上げても岩の頂上は見えません。これが有名な「行者返しの岩場」です。

 あぐりに「三点支持」の説明などしてから、まずは木こりが途中まで登ってみます。岩が濡れていて非常に滑りやすい状態です。久しぶりの鎖の感触に、わくわくするものを覚えながらも、結構苦戦して中間地点まで登ります。あぐりに「いーよー!」と声をかけて、カメラを構えながらあぐりが登ってくるのを見守ります。見ると、あぐりは結構安定した姿勢で上手に登ってきます。 主にあぐりの練習のため、なんて思いながら来た割に、木こりのほうがいい練習になっちゃっているかもしれません。まあ、毎週のように山に行ってたのは10年以上も前の話ですからね。

 岩の頂上に到着して、また二人で歩き始めます。しばらく行くと奥の宮に続く階段が現れました。以前来た時には単なる鎖場でしたが今は立派なアルミの階段が取り付けられています。とはいえまだまだ先は長いので、奥の宮参拝は省略して階段の下から拍手を打って先を急ぎました。

急登から稜線へ
 稜線が近づいたせいか坂はますます傾斜を増し、小さな鎖場や梯子、階段も連続します。階段といってもステップの狭い金属の階段が雨で濡れているのは、なかなかスリリングです。もう少しで稜線に出るはずと、少し登っては休み、少し登っては休みを繰り返して頑張ります。標準コースタイムからは若干遅れています。今日持ってきた地図はかつて木こりが来たときの1:25,000図(古峰原)ですが、そこにメモしてある当時の実測コースタイムとはさらに大きく違っています。かなりバテバテの状態で、やっと稜線に出ました。

 稜線の小ピーク「東剣ヶ峰」であぐりが実家の母親に電話をかけました。あぐりママも登山者なのです。あぐりが「こんど八ヶ岳に行くんだ」という話をすると、母親は「八ヶ岳のどこに行くの?」、あぐり「赤岳」、母「え、そりゃ大変だよ。まあ、若くて体力のあるうちしか行けないからね」といったようなやりとりがあったそうです。はい。八ヶ岳最高峰の赤岳を目指しています(^^; 体力……頑張ります(^^;

アップダウンを繰り返して山頂
 稜線は「東剣ヶ峰」「西剣ヶ峰」と小ピークを登っては下り、登っては下り、そのいちいちがかなり急で、鎖や梯子の連続です。垂直に近い梯子の下りはなかなかスリルがあります。特に梯子への取り付きが怖い。梯子の手すりは、垂直に切り立った崖の肩のところまでしかありませんから、第一歩を崖下に下ろすところが結構こわいのです。見えない足場を靴でさぐりながら、ゆっくりと降りていきます。梯子に限らず、鎖も、階段も、山は下りのほうが登りより技術が必要です。事故が起こるのもたいてい下りです。

 慎重な上り下りを繰り返して、11:00近くなってやっと石裂山山頂に着きました。2時間ちょっとで登頂できる予定が3時間近くかかっています。標準コースタイムより実測が遅かったのは、実は木こりの登山人生(ってほどのもんではないが^^;)で初めてのことです。しかもあぐりがいたせいというわけでもなさそう。やっぱり体力弱ってるよなあ。

帰路もへとへと
 石裂山山頂は狭くてまったく展望はありません。小休止して行動食を少しおなかに入れて、すぐそばの月山山頂に向かいます。こちらはいくらか展望がありますが、曇っていて、楽しみにしていた男体山などの日光連山は雲に隠れて見えませんでした。かろうじて奥白根山らしき峰がうっすらと見え、「あそこに登ったことあるんだよ」とあぐりに指さして見せました。奥白根山は当時も結構キツかった思い出があります。

 小休止の後、下りにかかります。下りも滑りやすいザレた(砂利の多い)急坂で、ところどころ鎖場もあります。膝は笑ってくるわ、へっぴり腰になってくるわで、お昼そこそこに下山予定がこれまたコースタイムを大きくオーバーして13時過ぎにやっと駐車場に戻りました。
 下山途中、中年のご夫婦がサササっと降りてきて我々を抜いてサササっと下って行かれました。ご主人のほうが20cmくらいの石を靴に当てて落石させたと思ったら次の一歩でその落石を登山靴でピタっと押さえて、何事もなかったかのようにサササっと去って行きました。「あんなふうになりたいね」あぐりとそう言い合って下山しました。

 翌日、早速ひどい筋肉痛。その翌日もひどい筋肉痛。そのまた翌日も筋肉痛で、こりゃまいった。よっぽどトレーニングしないと、八ヶ岳は無理だぞ(^^; しかもテントを担いでなんて。まだまだ道のりは長そうだ。まあ、今回は久しぶりの山行だったし、最高に蒸し暑い中の低山だったし、雨上がりの濡れた岩場だったしと、いろいろな悪条件が重なったということもあるのですが。ともかく、これから頑張らなくちゃ。それから、2人用のテントも買わなきゃ。ザックも新調したいし……って、目標は険しいけど楽しみも大きいのでした。

あぐり

久しぶりの登山は、楽しかったというよりキツカッタ(^^;体力には自信があったのにー…八ヶ岳に向けて体力つけなくちゃ、がんばるぞぉ〜!!