鬼怒川水系の渓流釣り

日 時

2004年03月下旬(07:00〜11:20)、曇ときどき晴

場 所

鬼怒川支流の某渓流(栃木県)

釣 果

イワナ(15〜23cm)×3、ヤマメ(15cm)×1

釣行記

お別れ釣行?
 あぐりと休暇を合わせられなくて、木こりひとりでホームグラウンドの鬼怒川支流にでかけました。またまた仕事が忙しくて3ヶ月ぶりの釣りです。この3ヶ月の間に、木こりの仕事の都合で夏に地方に引っ越すことが決まりました。もちろんあぐりも一緒です。海と山に挟まれた町なので、釣り場には不自由しなくてすみそう。関東の混雑した釣り場とちがってのんびりとした釣りが楽しめるのではないかと期待しています。ソッチに行ってもこのページは続けるつもりですから今後ともご贔屓に(^^;
 ただ、ソッチに何年いることになるかわからないので、関東の馴染みの釣り場にはしばらくお別れです。他の釣り場とちがって十数年来通いなれたこの渓流は、木こりにとっては特別な思い入れがあります。すっかり頭に入っているポイント、淵や滝のひとつひとつに名残を惜しみに行きたいと思って、解禁直後の釣行にでかけました。おりしも関東では桜がそろそろ満開を迎えようとしていました。花粉症の木こりは、佐野インターあたりでもう鼻水が出てしょうがない状態です。

この道をずいぶん通った
 杉林の中のこの道を、これまでずいぶん通いました。いつもの場所に車を置いて、まずは実績のある放流点と思われる小淵に降りました。わ、水が澄んでる。底まで丸見えだ。ってことは魚から釣り人の姿が丸見え、ってこと。これは釣りにくそう。さっそく仕掛けを用意して、近所の釣具屋で初めて見かけた巣なしのブドウ虫「釣女王」(これはいちいち巣をやぶいて出さなくていいので非常に便利)をつけて投入。しかし、底を流れるブドウ虫がはっきりと見えちゃいます。追ってくる魚影はなし。何度流してもなし。
 こりゃ幸先が悪いワと思って、早々に移動。移動先はすぐ下流にある、ここも実績のある小滝です。今日は滝の上から写真を撮ってみました。大場所用の長い仕掛けに付け替えて何度も流しますが、なかなかうまく反転流に乗りません。渓の流れは、水位や流芯の位置や底石の具合が、来るたびに少しずつ変わっていて難しい。ここでは一回アタリがあっただけで乗せられませんでした。
 上流の滝のほうにも行ってみたのですが、入渓点でフライマンがしきりにロッドを振っているところでしたので、追い越しちゃ悪いから今日はここは遠慮しておくことにしました。

初めての淵で釣果
 隣の渓に移動しようと思って少し林道を下ったところで、ふと、これまでめったに入ったことがない堰堤下のポイントに入ってみようかという気がおきました。急斜面をずり落ちるように河に降りてみたら、堰堤下以上によさそうな淵が目に入りました。水の色が深い緑を湛えて底が見えません。これは釣れそう。そそくさと仕掛けをほどいてひと流し。いきなりブルっと来ました。でも乗りません。いる! もういちど同じ筋を流します。またゴツゴツっとアタリ! キュっと合わせると重たい手ごたえ。次の瞬間、ググっと引かれて竿が大きくしなります。 「やった!」ひさしぶりの魚のいい引きを味あわせてもらいました。上がってきたのは23cmのイワナ。この渓にしては大物のほうです。うーん。これで満足。いると思った淵のいると思った筋でいきなり釣れたことが嬉しく、この一匹で今日はあと釣れなくてももういいやという気分になりました。釣れてよかった。

隣の支流に移動
 いったん里に下りて携帯の圏内に入ったので、そろそろ職場に着く頃のあぐりにメールでイワナが釣れたことを伝えて、これも思い出深い隣の支流に移動しました。鼻水ズルズルです。考えてみれば花粉症のヤツが春先に杉林の中を歩き回るのですから正気の沙汰ではありません(^^; 前回来たときと同じコースを釣り上ろうと思っていつもの駐車スペースに車を置くと、入渓点の入り口のところに道をふさぐようにワンボックスが1台停まっています。先行者いるな。道の反対側には広い駐車スペースがあるのに道をふさいで車を置いているところが、いかにも「来るな」と言ってるみたいでちょっとヤな感じです。釣り人のこういう根性がやだなあ。でもこの辺では先行者がいるのが当たり前。ある程度時間が開いていれば放流魚はまたすぐ餌を追いますからがっかりすることはありません。

 入渓点すぐの淵はたぶん放流地点で実績が高いのですが、今日はここは全然反応ありませんでした。小さいのがライズする姿は見えますので、魚はいる。それでもアタリが出ないのは先行者との時間差が足りなかったせいかもしれません。あきらめて少し遡上して、上の写真の淵で数投。淵頭の白泡にエサを落として流芯に巻き込ませて底流にうまく入ったら、目印が急に止まってそのまま上流に向けて不自然にスーっと横走りしました。「きた!」っとアワセると、プルプルと来て、15〜6cmの小ぶりのイワナが出ました。赤い腹が見えたので一瞬ハヤかなと思ったのですが、塩焼きサイズの岩魚でした。ここでは、同じ筋で同サイズのイワナがもう一匹釣れました。解禁直後のわりに出るサイズが小さいのはやはり先行者が近いせいかなあ。でも楽しいたのしい。

体力落ちてるなあ……(^^;
 写真は、以前の釣行記にもたびたび登場する「木こり必釣の淵」を巻き道から見下ろしたところです。すばらしい渓相です。渡渉と高巻きを繰り返しながら、えっちらおっちら遡上していきます。渓流の巻き道は通常の登山道よりはるかに急峻で、しかもはっきりとした踏み跡がなかったりして、下手な登山よりきついくらいです。ここにたどり着くころには次第に疲れが出てきました。このあたりでヤマメを一匹追加して、今晩の二人分のおかずは申しぶんなし。そろそろお昼近いから納竿だなと思ったのですが、林道に戻るにはこの「必釣の淵」から高巻きを2回やって対岸への渡渉が2回、さらに急斜面を登らないとなりません。ここに来始めた頃と比べると、確実に体力が落ちてるなあ。最近、釣りも山登りもやってないもんなあ。しかもお腹も減ってきた(^^;

川鼠とカタクリ
 最後の大淵は、いつもながらやっぱりアブラッパヤしか釣れず、高巻きして写真の大渕の「ノド首」の向こう側に降りたところで、珍しいカワネズミを見ました。ここの大淵にはカワネズミが住んでいるのですが、姿を見るのは珍しい。水中に動くものがあったので魚かと思って見ていたら、水面から顔を出したのはネズミでした。木こりが流すエサに興味を持って近くまで来てブドウ虫を見たと思ったら、危険を察知したのかいきなりものすごい勢いで下流へ逃げていきました。最後にこいつに会えてよかった。

 林道への登り口のところにカタクリが可憐な花をつけて俯いていました。ここでカタクリを見たのは初めてです。というより、カタクリの花を肉眼で見たのも実は初めてでした。見回すと、アッチにも、コッチにも咲いています。なんだか木こりとの別れをひっそりと惜しんでくれているようで、胸に迫るものがありました。やっぱりこの峪はいいところだなあ。

さらば!なつかしの釣り場よ!
 林道に上ると腿はパンパン、あとは舗装道路を下るだけの楽な道のりですが、急に汗が噴いてきました。釣りながらの遡上は2時間くらいかかりましたが、林道歩きの下りはものの10分であっけないものでした。いつもならこんななんでもない林道の写真なんか撮らないのですが、ひょっとしてもしかするとこの釣り場に来るのはこれがわが生涯最後になるかもしれないなどと考えると、思わずシャッターを切りたくなってしまいました。まあ、また来るチャンスがないこともないですから、これはちょっとセンチメンタルが過ぎましたかね(^^; でも今日はなんだかそんな気分でありました。

 車に戻って里に下り、またあぐりに「今夜は焼き魚」とメールを打ちました。近くのファミレスに向かって走りだすと、農道から日光連山がきれいに見えました。山並みは名残の雪を残して、北関東の山里はまだまだ浅い春の風景です。