鬼怒川水系の渓流釣り

日 時

2003年4月中旬(8:00〜13:00)、晴れのち曇り

場 所

鬼怒川水系の小さな支流(栃木県)

釣 果

ヤマメ(15〜17cm)×3、イワナ(15cm)×1

釣行記

日常がバックミラーに消えてゆく
 しばらく忙しくて仕事のストレスがたまりにたまった木こりが、なんとか無理やり取った有給休暇。今日はあぐりは仕事なので、木こりひとりで鬼怒川水系の某支流に渓流釣りに行くことにしました。天気予報では栃木県北は最低気温1℃とのこと。4月とはいえ山沿いは氷点下になってもおかしくありません。寒い時期の渓流釣りは朝マズメより水温が少し上がってからのほうが釣れたりします。無理な早起きはやめて朝5時に東京を出発。東北道を北上しながら、どこかのRV車のCMの「日常がバックミラーに消えていく」というコピーを思い出していました。まさにそういう気分。今日は仕事を忘れて楽しむぞー!

 途中佐野S.A.でいつもの「佐野ラーメン」を食べて、7時半過ぎに現着しました。そうそう。味が落ちて心配していたS.A.の佐野ラーメンは少し持ち直していました。麺ゆですぎだったけど。もう一息!期待してるぞ佐野ラーメン。

 県北の山村に着いたのは7時半を過ぎたころ。日光連山はまだ雪を残して、清冽な朝の空気が心地いい。木こりがかつて登ったことのある山も見えています。いつもの農家で遊漁券を買って早速釣り場に向かいました。

大場所は魚信なし
 この渓は木こりが渓流釣りのホームグラウンドにしている釣り場で、かれこれ10年以上通ってるところです。ちゃらんぽらんなあそび釣り派の木こりが、唯一、「こだわり」と「修練」を重ねた道場です。そのわりに上手になってないけど(^^;

 川沿いの林道のダートを登っていくと、平日とはいえさすが解禁からさほど日がたっていないせいか釣り人のものらしい車が見られます。いつもの駐車スペースのそばにもRVが1台停まっています。「出遅れたな」とは思ったもののやはり予定の場所に車を置いて、小さな滝壺に先客がいないか様子を見ます。誰もいません。そそくさとウェーダーに履き替えてポイントに入りました。ここは前回25センチ級のイワナが釣れた、この渓屈指の大場所です。

 今日の仕掛けは鮎用の0.175号の通し、針はKappa半スレ5号、エサはブドウ虫とイクラを用意してきました。水は透明度が高く、水量はかなり少ない様子で、いつもより渡渉が楽です。体を低くしてポイントに入り、入魂の投入を繰り返します。じっと目印を目で追っていると、仕事のモヤモヤが頭から抜けていきます。……しかしアタリません。おかしいなあ、他所がだめでもここだけは釣れる、ってくらいの第一級ポイントなんだけどなあ。解禁以来、さんざん攻められて釣り切られちゃったという感じなのでしょうか。30分くらいネバって、あきらめました。もしかして今日は「ボ・ウ・ズ?」 不吉な言葉が頭をよぎります。

トロ瀬でボウズのがれ
 いったん入渓点に戻り、滝上の小淵のポイントに移動します。ここは水深もなくてたいした好ポイントには見えない小淵ですが、よく釣れるのです。林道から斜面を降りてすぐなので、たぶん漁協の放流ポイントになっているのではないかと思います。写真でもわかるように、ここは浅くて流れもゆるいので、そういう意味でも放流魚がたまりやすい場所です。もう少し暖かい時期なら魚が走る姿がけっこう見えたりするのですが、今日は魚影は見えません。

 川の上には両岸から木の枝がオーバーハングしています。ズーム竿を短くして仕掛けを流します。しばらく反応がありません。ワキ、流心と筋を変えて流すうちに、瀬尻のヒラキにかかるあたりで待望のアタリがありました。ブルブルっと手元にきました。とっさに少し送り込みます。……かかりません。同じ筋をもう一度。また同じ場所でブルブルと来ます。今度はキュっとアワセを入れます。……だめです。ハリが小さいとバレやすいのです。しかしハリが大きいとそもそもアタリが出ませんから、バラシは小鈎を使う上での税金みたいなものです。

 エサをチェックするとブドウ虫がつぶされています。エサをつけかえて、また何投かするうちに、またアタリが出ました。今度はアワセも送りもせず、竿を止めて糸にテンションを与えたまま手元にブルブルを感じながら数秒待ちます。それが聞きアワセみたいになったらしく、今度は乗りました。やった! そのまま慎重に岸にずり上げます。フッキングが甘いので抜き上げはしません。15〜6センチのぎりぎりキープサイズのヤマメでした。バレても何度もアタックしてくるのは、警戒心のうすい放流魚だからこそでしょうか。

今日のパターンが見えた
 少し遡上して、別の淵を狙うもののこれは不発。石をひっくり返して川虫を探してみたら、いいサイズのクロカワ虫やチョロ虫が採れたのでエサ箱に入れます。いったん車に戻り、クーラーに魚を入れて移動。林道をさかのぼってひとつ上の小滝に向かいます。しかし、ここも滝壺は反応がありません。川虫でもだめです。

 ここで思わぬアクシデント発生。竿を伸ばしていたら、穂先がスポっと抜けてしまいました。あれ? 長年のうちに2番手がゆるくなってきたのでしょうか。今日は予備の竿を持っていません。しょうがないので継ぎ口をバンドエイドで止めます。もう10年使ったからなあ、修理部品も手に入らないだろうし、そろそろ買い替えかなあ。

 滝壺がだめなのでヒラキのトロ瀬を攻めてみました。最初は川虫で反応がなかったものの、ブドウ虫を流してみたらいきなりブルブルと来ました。……しかし乗りません。もう一度。ブルブル。……でも乗りません。3投以降はアタリも出ません。さすがに見切られたか。あきらめていったん別の淵に移動。でもだいたい今日のパターンがわかってきました。「いかにも釣れそうな大場所は釣りきられている」「川虫よりブドウ虫」「バレても同じエサに何度もアタックしてくる」 これは、釣り人の多い放流まもない時期の特徴ですね。

 2、30分してもう一度、同じ滝壺のヒラキに戻ってブドウ虫を流してみます。ブルブル……きました! やはり竿を止めてハリスにテンション……乗りました。17cmほどですが体高のあるヤマメでした。背のウロコが赤紫に光って美しい姿です。このポイントをぐるりと見渡した動画です。wmv形式で331KBあります。

隣の渓に移動
 そろそろお昼近くなってきました。いったんふもとに降りて、おにぎりで腹ごしらえして、携帯でメールチェック。よしよし、仕事のメールは来ていない。今度は隣の渓に移動することにしました。今日のパターンはわかっています。 「いかにも」の大場所は避けて、漁協が放流しそうな、林道から近い写真のような流れのゆるいトロ場だけをブドウ虫中心に拾い釣りします。川虫もときどき試してみますが、やはり今日は川虫には見向きもしません。

 こちらの渓では15、6センチのヤマメとイワナを一匹ずつ追加しました。写真は元気にハネるイワナ君です。今夜はあぐりが友達と飲み会ということで晩飯も木こりひとりです。これ以上釣っても食べきれないし、昼過ぎになって空が曇って冷たい風が吹き始めたので、早めに納竿しました。

仕事の電話で休日気分オジャン
 気がつくと、最近悩まされていたきつい肩こりの痛みがスっと抜けています。やっぱり山釣りはいいなあ。気持ちがのびのびする。最高の癒しです。

 ところが、帰りの高速のS.A.で携帯に取引先から電話がかかってきました。仕事がトラブっています(*_*; 休めないなあ。車の中からあちこち電話して、なんとか納めて家路を急ぎます。休日気分は半日で終了、とほほです。

 家のそばまで戻って、閉店セールをやっている釣具屋に寄りました。店内全品、値札の3割引ということで、渓流竿をいろいろ物色してDAIWAの「早春」というズーム竿を1万円の3割引で買いました。伊藤稔氏の「零釣法」用の竿があって、ナチュラルドリフト派の木こりとしては心惹かれたのですが、伸ばしてみるとグニャグニャの胴調子で、これは開けた川でないと使えません。木こりのホームグラウンドは、常に頭上に木の枝が覆いかぶさる釣り場で、短い仕掛けを竿でポイントに運んで投入しなければならないので、今回は敬遠しました。開けたいい釣り場を見つけたら、こういう竿も使ってみたいものです。

 釣った魚は例によってしばらく料理酒に漬けてから焼魚にしました。この方法は川魚の臭みが抜けて芳ばしくなるのでお勧めです。